これからの画像認識はどう進む? 画像認識を取り巻く一連の課題とは

画像認識_課題

AI・機械学習の分野には、自然言語処理や音声認識などさまざまな要素技術が存在しますが、中でもビジネスの幅広い分野への応用が期待されているのが画像認識技術です。その名の通り画像に含まれる要素を区別・判別し、さまざまな特徴を割り出すのに役立つ技術であり、日進月歩で技術革新が進んでいます。

しかし、そもそも画像認識とは世の中のどのような課題を解決できるのかが分からず、導入できずにいる企業も多いのではないでしょうか。また、技術革新が進んでいる現在においても画像認識を取り巻く課題は多く、さまざまな企業が改善に向けて取り組んでいます。本記事では、画像認識技術が解決するビジネス課題の一例と、画像認識を取り巻く課題についても解説します。

画像認識はどのような社会・ビジネス課題を解決できるのか?

画像認識技術はさまざまな業種・業界に対応した事例が存在しますが、中でも社会的に大きな注目を集めているのが自動運転の分野です。

通常、車を運転する際には、人間の目で対向車や道路の幅、道路標識、歩行者などを判別しています。しかし、どれだけ気をつけて運転をしていても、運転者の集中力低下や脇見運転などの人為的なミスによって交通事故が発生してしまいます。画像認識技術を応用し、車の制御が自動化すれば、毎日のように発生している交通事故を大幅に減少させることも可能になるでしょう。

また、画像認識技術は自動運転の分野だけではなく、以下のように製造業や農業、医療など多くの分野でも活用が期待されます。

  • 製造業:不良品検知や生産機器の故障予測
  • 農業:収穫すべき作物の生育状況を見極め、作物収穫ロボットへ応用する
  • 医療:腫瘍の検知 など

しかし、画像認識技術は極めて高い精度が期待できる一方で、100%の精度を実現することは現実的ではありません。

たとえば自動運転技術の事例を考えてみると、AIが道路標識を誤認識し、事故につながるおそれもあります。また、製造業においては、光の当たり具合によって生じた影によって不良品と誤認識する可能性も考えられます。

AIに全ての判断や作業を委ねるのではなく、画像認識技術を活用して人の作業を効率化しつつ、オペレーションとも組み合わせるフローを検討することが現実的であり重要なポイントといえるでしょう。

まだまだ進化の途中 画像認識を取り巻く課題は?

画像認識技術を実際の業務や社会課題の解決に向けて応用しようと考えたとき、さまざまな問題があります。その中でも特に重要な3つの課題について紹介します。

1.バイアスの問題

1つ目は「バイアスの問題」です。バイアスとは日本語で「偏り」と直訳されますが、AIの分野におけるバイアス問題とは、特定の要素がAIのアルゴリズムに影響を与えてしまうというもの。もっとも有名なバイアス問題としては、Googleが開発した画像認識システムが、特定の人の画像を「ゴリラ」と判別した事象が挙げられます。画像認識システムは教師データをもとに推測を行い、特徴を割り出しながら正しい答えを導き出します。しかし、教師データを取り込む際に人間社会の偏見や偏りが生じていると、画像認識システムから出力される結果も公平なものではなくなってしまいます。

参考:グーグルの画像認識システムは、まだ「ゴリラ問題」を解決できていない──見えてきた「機械学習の課題」 | WIRED.jp 

2.データ量の問題

2つ目は「データ量の問題」です。機械学習には大量の教師データが必要ですが、あらゆる分野や用途において常に大量データが集まるとは限りません。たとえば、製造不良品の検知や故障予測などは、そもそも発生頻度が少ないため大量の学習データを集めることが難しいものです。不良品や故障が発生するパターンも多様で、あらゆるパターンに対応できる教師データを用意するとなると膨大な時間を要してしまいます。

このような課題を解決すべく、データを集める必要のない教師なし学習を実現するアプローチも進んでいますが、少量のデータでの機械学習が可能になれば、さらにAIの応用分野が広がっていくと期待されます。

3.説明可能性の問題

3つ目の説明可能性の問題とは、なぜAIがそのような結論を導き出したのか、人間に理解できるように説明する技術のことを指します。そもそもディープラーニングのアルゴリズムは極めて複雑であり、ブラックボックスになりがちな傾向があります。しかし医療や金融をはじめとした分野では、判断根拠の提示が求められます。

たとえば医療分野において、「根拠は分からないが、AIはこのような結論を提示している」と患者に伝えたとしても、患者の多くは納得できないでしょう。また、金融業界においては、与信審査などの結果に対して消費者が説明を求めることも権利として認められています。そのような意味で、結論に至った根拠を明確に説明できるということは極めて重要なのです。

さらに、万が一AIが誤った判断を下した場合、ブラックボックス化されたままだと何が原因で誤った結論に至ったのか検証することもできません。このような問題を解決するために、現在多くの企業や研究機関において、説明可能なAIの開発が進められています。

画像認識の今後 AIとともに進む技術革新

さまざまな業種や企業において活用が進むAIですが、技術の進歩に伴って画像認識やディープラーニングのさらなる精度向上が求められます。上記で紹介した3つの課題解決に向けた対策はもちろんですが、AIを導入する企業が何の課題を解決しようとしているのか、最終的なゴールや達成すべき目的の検討も重要なポイントといえるでしょう。

また、活用シーンが増えることにより、AIに精通した人材の育成や確保も重要な課題といえます。現在、多くのプログラマーやSEの中ではPythonをはじめとした機械学習と関わりの深いプログラミング言語の重要性が高まっていますが、この裏にはAIエンジニアの需要が急激に増加していることも大きく関係しています。今後のキャリアを考えて自律的にスキルアップを目指すエンジニアも多いですが、優秀なAIエンジニアを社内で育成することも多くの企業に求められるようになるでしょう。

さらにAIの活用が一般的になると、画像認識やディープラーニングの技術に詳しくない担当者であっても、手軽に操作できる多種多様なツールも誕生してくると期待されます。大企業や官公庁だけではなく、中小企業も含めてAIを手軽に利用できる環境が徐々に整備されてくると考えられます。

まとめ 

DXの実現に向けてAIの導入を検討している企業は多いですが、ツールやシステムを導入しただけで課題が解決できるとは限りません。まずは画像認識やディープラーニングの特性を理解し、何ができるのかを整理しつつ、自社が抱えている課題や問題に応用できるポイントを見極めることが重要です。

今回は製造業や農業、医療分野での事例を紹介しましたが、それ以外にもあらゆる分野で画像認識技術は応用が可能です。AIは業務効率化や一定の作業を自動化するのに役立ちますが、全てが人間の作業を代替できる存在とはいえないのが現状です。あくまでも人間の作業と組み合わせ、効率的な仕事を実現できるようにオペレーションを検討してみましょう。

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